Southern Hospitality Part.2

クリスマスイブ、まずはクリスティーナの実家を訪問しました。クリスティーナのお母さま妹さんがお出迎え。

お母さまはイタリア移民だそうで、本当にイタリアのマンマといった風情の方。素敵な笑顔で温かく迎えてくれました。 

招いてくれたダイニング、既にテーブルの上には小型の手回しタイプの製麺機がテーブルに取り付けられておりまして

郷土料理の一つで、イタリアではお正月に食べるラヴィオリという餃子みたいな食べ物の仕込みを一緒にすることになりました。

通常は平たく伸ばした小麦粉生地2枚の間に、小指の先ほどに丸めた牛挽肉を均等に置いて挟み、ピザカッターなどで正方形にカットし四隅を閉じた状態にして、トマトソースで煮て食すのですが、

この丸めた牛挽肉の代わりに、一つだけ小麦粉を丸めたものを入れたラヴィオリを作るんだそうです。

で、これを食べた人はいわゆる「クジに当たった」人、ってことで来年は良い年になるよ!って事なんですって。

(日本人の感覚だと「ハズレ」な感じでしたけど。。。)

マンマミーア!

まさかアメリカへ来て、イタリア式正月のお祝いの仕方を教わるとは思いもしませんでしたが、まずは最高な出だしと言える印象深い経験でした。

その後、クリスティーナの彼氏が迎えに来てくれて今度は彼の実家へ移動。そこでクリスマスイブを過ごす事になりました。

ところで、このドライブ中にすごく印象的だったのが、近所の家々の庭先にイエスキリストが生まれた時の馬小屋を再現したデコレーション(陶器人形を置いて豆電球などで電飾している)を飾っていたことです、思い思いに。

それこそ、とんでもなく気合を入れて家の縁をきれいにふちどって何千個カラフルな豆電球で光らせている家もあって、さながらコンテストのようでした。

さてさてクリスティーナの彼氏は、襟足がアンバランスに長い髪型、セーターにジーンズそしてウェスタンブーツと 王道中の王道な感じのウェスタンなルックス。南部の白人男性!の典型的な風体でした。(あくまで主観ですので他意はありません)顔がややアル・ヤンコビックに似ているのがご愛敬。

三人での記念写真!

この彼氏が繰り出す南部訛り(やっと慣れたと思っていたのに)、相当ヘビーアクセントでお話ししてくるので常に集中していないと聞き逃す。。。

でも笑顔絶えなくほんとうに陽気な南部の人、って感じで印象良し、でした。

前回書きましたようにクリスマスは親戚が集まるなので、続々とご親族の方たちが集まるにつれ、お互いの近況報告で盛り上がり始め、(想定内とは思いつつ)取り残されてしまいました。。。

(本当に何度となく、留学中は、特にパーティーで「透明人間」状態になった事多々ありました。。。)

そしてディナーは王道のザ・クリスマスディナー、七面鳥やカントリーハム、マッシュドポテト&グレービー、コーンブレッドなどの、まさにアメリカ南部のクリスマスディナー!で本当に堪能しました。

ディナーも終わり皆ほろ酔い加減でリビングルームに戻りまして、思い思いに椅子やソファー、カーペットの上に座りました。

彼氏のお父さんが、家に入った時からずーっと気になっていた、クリスマスツリーの下に置いてある沢山のプレゼントの山、山、山から、ひとつひとつギフトを取り上げます。

クリスマスのギフトってサンタクロースを信じている子供たちの枕元に置いておくものではないの?と思ったのですが、どうも勝手が違うみたい。。。

よく見たら誰宛に誰から、と名前が書いてある付箋が貼ってあり、書いてある名前を呼びます。 

ラッピングしてあるので中身は見えませんが、あくまでイブの時に交換して中身を確認するのが決まりみたいでした。

参加者が自身以外の人全員にプレゼントを買っていたと記憶していますが、とにかくみんながそれぞれの人に何が合うかを考えて渡しているのがわかり、プレゼント贈呈、ハグ、贈呈、ハグの繰り返し。

そんな嬌声を上げている人たちを眺めながら、「そんな慣習聞いてなかったからプレゼントは買ってきてないし、当然もらえるものもないな」って急に疎外感から落ち込みそうになっていました。

ところが、、、

プレゼント交換終わったと思ったら、クリスマスツリーの下に一個だけギフトが残っています。

あれ?あれ?あれ?「This is for you, Yoshi!」

なんと!! クリスティーナの彼氏が私用にプレゼントを用意してくれてたんです!

嬉しくてが出ました。。。なんという優しさでしょう!! 

Old Spiceという渋めの男性用化粧品ブランドの香水でした。 

ぶっちゃけその香りは、ほぼマンダムで当時20歳の私にはちょっとオジサン過ぎましたが、なによりもその気持ち、心遣いが本当に嬉しかったです。

翌日は、彼氏のお父さんが長距離トラックの運転手をしているのですが、イブの日に

「子供の頃に、『コンボイ』という映画で巨大なアメリカの長距離トラックが連なって走っているのを観て、憧れがあります」って話したら、

「一度乗せてあげよう!」ってことになりまして。

とんでもない高さからハイウェイを眺めながらゆっくりと威風堂々と走るトラック、助手席ではあっても相当ゴキゲンな気分にさせてくれます。

座面に空気か油か相当な衝撃を吸収する機構、アブゾーバーが入っていて直接、路面の振動が伝わりにくくなっており長距離でも疲れにくいという設計になっているんですよね。 

お約束ではありますが、天井から垂れ下がった紐を引っ張って鳴らしたクラクションの爽快な事!

彼氏のご両親と。お父様のお腹!!!

本当に盛りだくさんの思い出を作らせてもらい、このクリスマスの体験は一生忘れることができない人生最高のクリスマスとなりました。

アメリカの南部テネシーに当時、そんなに日本人が多かったわけではなく、たぶん皆、初めて日本人に会ったって感じだったのだと思うのですが、本当に優しく接してくれました。

実は南部には、Southern Hospitality「南部のおもてなし」と呼ばれている、旅人を自分の家族の一員のように厚くもてなす風習があり、私は文字通り「南部のおもてなし」に触れる事ができたのでした。